約 3,372,719 件
https://w.atwiki.jp/girlwithlolipop/pages/99.html
前夜祭 ◆PatdvIjTFg ◇ "What are little girls made of?" (女の子って 何でできてるの?) "What are little girls made of?" (女の子って 何でできてるの?) "Sugar and spice" (砂糖とスパイス) "And all that's nice," (それと 素敵な何か) "That's what little girls are made of." (そういうものでできてるよ) 「素敵なものって何かしら?」 「きっと、私も貴方も持っていないものよ」 「……それを、私は欲しいわ」 ◇ やけに小学生の死亡記事が多いな――と、リビングルームで新聞を読みながら少女は考える。 それも、いやに猟奇的で、際限ないほどに絶望的だ。 未だ見つからぬ同一犯による連続殺人、小学生による猟奇的殺人、屋上からの落下事故。 なんて――絶望的なんだろうか、そう考えると少女――『江ノ島盾子』の本能が疼く。 「メ、メ、メ、メシウマァ~~~~~~wwwwwwwwwwwwwwなんつて」 「こんなことしてる場合じゃないのに…………早く……犯人に会わなきゃ…………」 ころころと自身のキャラクターを入れ替えながら、江ノ島盾子は記事を読み返す。 この事件群にはあからさまに、絶望的に隠す気が無いんじゃないかってぐらいに、黒幕がいる。 ただし、その黒幕を発見することは――私様以外には相当に難しいだろう、と江ノ島盾子は考える。 少々の差はあるが、この事件は江ノ島盾子が元の世界で起こした事件に似ている。 動機と手段、そして密閉した空間――生徒会連中が死んだ時のように、この小学生たちも、また。 なんて、絶望的なのだろうか。 「私の計算上、犯人は小学校にいることは間違いありません」 「にょわ~☆それも、聖杯戦争のためっていうよりも~~ただの趣味だにぃ☆」 「うぷぷ……それにしても酷いなぁ、そういうことならボクを誘ってくれればいいのに」 「というわけでアタシ、放課後に小学校行くけど、アンタも来るよね、ランサー」 ◇ 「放課後はごめん!今日は用事あるんだ」 小学校――三年生教室。 それぞれが仲良しのグループ同士で固まりながら、他愛のない会話を行っている普通の教室。 最近の猟奇事件は恐怖の象徴であると同時に絶好の話の種である、誰もが自分は事件に巻き込まれないと信じきっている。 いや、信じなければならないのだ。そうでなければ、この教室は毎日がしめやかな葬式会場へと変貌を遂げる。 明るさを装い、平凡を装い、そして何とかやっている教室である。 だから、日常は続く。 彼女もそんな日常を維持するグループの一人である。 茶色をした明るい髪色、その髪はツインテールにまとめられ、顔には困ったような笑顔を浮かべている。 人目を引く――明るい可愛らしさ、『高町なのは』である。 「それに、犯人がまだ見つかってないでしょ、危ないよ」 「……うん、そうだね」 陰が差す友人の表情に、高町なのはは焦燥感に駆られる。 この事件もまた聖杯戦争によって引き起こされたものならば――早く解決しなければならない。 心臓が早鐘を打つ。 この問題を解決できるのは、自分しかいない。 ◇ 自分だけであると、互いに思い込んでいる。 四年生教室――『木之本桜』と『大道寺知世』は互いに、自分だけが剣を持っていると思い込んでいる。 いや、正確に言えば違う。 自分だけが聖杯戦争の参加者であると思い込みたい。 一般的な小学生ではない別の顔、カードキャプターとしてのさくらを大道寺知世は知っている。 危険もあるが、それを受け入れて応援してくれている大切な友だちであることを木之本桜は知っている。 けれど、聖杯戦争は人が人を殺す。 易易と秘密を開示出来ない。 聖杯戦争に人を巻き込むということは地獄への道連れを作るということであるから。 それでも。 「知世ちゃん……」 「さくらちゃん……」 ごくりと唾を飲み込む。 チャイムが鳴る。 言おうとした言葉が生まれるまでもなく、チャイムによって掻き殺される。 「ううん、なんでもないよ」 「ええ、私もですわ」 お互いがお互いに、一人でそんな危険なことを行っていると知れば見過ごせないから。 例えNPCであろうとも、大切な親友であることを知っているから。 だから、二人は寄り添って何も言わない。 言えない。 ぎゅうと、さくらが知世の手を握った。 その手を知世は握り返す。 僅かに震えていた。 ◇ 『輿水幸子』というアイドルが、自分の通う中学校にいることを『山田なぎさ』は初めて知った。 ショートカットで、自分のことをボクだなんて言う奴で、自分のことをカワイイと言い張って憚らない変なアイドルで、でも彼女は『海野藻屑』じゃない。 そんなことは知っていたけれど、それでも廊下で初めて輿水幸子とすれ違った時、もしかしたら彼女は海野藻屑じゃないのかと思った。 でも、彼女の両脇には『白坂小梅』と『星輝子』というアイドルがいて、 だから、聞こえる方の耳を私に向けている藻屑は、ここにはいないんだな、と思って。 無性に悲しかった。 「ま、落ち込んでばかりもいられないけどね」 気を張り直す、持たされた実弾はあまりにも現実離れで、まるで夢に撃ちこんでいるかのようにふわふわとしているけれど、それが私の選んだ実弾。 砂糖菓子の弾丸にもう一度会うための弾丸。 山田なぎさにもう一度会うための弾丸。 返り血を浴びたアーチャーの姿を見ながら、『海野藻屑』は考える。 何人殺したんだろうか、どれほどぼくは山田なぎさに近づけているんだろうか。 安楽椅子に身を委ねながら、届きそうな程に近い空に手を伸ばしてみる。 どれだけ伸ばしても空は掴めない。 海野藻屑は、人魚姫の夢を見ていた。 魔女と契約して、山田なぎさに会うための足を手に入れたけれど、 山田なぎさは自分を助けてくれた人魚姫に会うために、魚の尾びれを手に入れる夢。 何時までも何時までも会えないまま、お互いが泡になって消えてしまう夢。 とても悲しくて、でも夢だ。 きっと、夢だ。 ◇ 夢を見ていました。 とても、とても、楽しい夢を。 賀茂さんが帰ってくる夢。 狐に生まれ変わって北海道から、自分の家まで一生懸命走って帰ってくる夢。 夢の中で私は普通の女の子で、誰も死んでいなくって、何時までも楽しく暮らす夢。 駄目ですよね、私がそんな夢を見たら。 でも、許してください。 夢を見ただけなんです、そんなとても楽しい夢を…… 『桂たま』が眠りから目を覚ますと、変わらない現実が広がっていた。 何一つして変わってはいないし、何も終わってもいないし、何も始まってはいない。 桂たまは一人のままだ。 ◇ 一人は寂しい。 そんな当たり前の事実を、『輿水幸子』も『白坂小梅』も『星輝子』も知っている。 だから、三人で集まって昼食を食べていた。 「フフ……今日もきのこ、明日もきのこ、明後日もきのこ、美味しいぞきのこ」 星輝子はきのこの炊き込みご飯をゆっくりと咀嚼し、輿水幸子は 「見てください、料理も完璧だなんて流石カワイイボクですね、食べてもいいんですよ?」 などと、自分の作ったお弁当を皆に見せびらかし、 二人のそんな様子を見ながら、白坂小梅はホットドッグを食べながら微笑んでいる。 「幸子ちゃん……輝子ちゃん……今度、映画……見に行こうよ……」 「いいね……マタンゴ2015……見に行こう」 「ホ、ホラー映画は駄目ですよ!映画館の人がボ、ボクのカワイさに夢中になって、映画どころじゃなくなっちゃいますから!」 「フフ、きのこは友だち……怖くない」 「うっ、ボクはカワイイ子ですから」 「映画じゃなくても……い、いいけど……でも……私たちで……何かしたいな」 「私たち……」 「ボク達……」 「うん……」 「いいですね!」 思い出が欲しい。 聖杯戦争はきっと辛いけれど、それでもここにいる他の二人は偽物かもしれないけれど、 それでも、友情は本物だから。 だから、辛いだけじゃなくて、楽しい思い出を残したい。 ◇ 何一つ、残されていない。 だから、取り戻しに来たのだ。 『大井』を大いに驚かせたものは、自身に支給された高校の制服ではなく、自身の学年である。 流石に、高校一年生からやり直すことになるとは予想だにしていなかった。 だが、些細なことである。 大手を振って、高校に通えるというのはありがたい。 攻勢に打って出るにあたって、欲しいものは何よりも情報である。 ならば、それを収集するに相応しいのは人の集まる場所だ。 教育機関はそれに最適だ。 元の世界の艦娘に似た自分の友人を名乗る女子高生達と会話し、つまらない授業を受け、学食で昼食を食べる。 あまりにも平穏な世界。 きっと、北上さんが死なない世界。 聖杯を手に入れた暁には、この世界で北上さんと暮らすのも悪くはないのかもしれない。 そんなことを考えていると、声を掛けられた。 「すいません、隣良いですか?」 「どうぞ」 「どうも~いいってさ絵理ちゃん」 「ありがとうございます」 女子高生の二人組、見覚えはない。 友人なのだろうか、一人はまさしく美少女といった容姿をした少女で、もう一人はボブカットの全体的にふわふわとした少女だ。 しかし、大井にはどうでもよいことである。 ◇ 『雪崎絵理』が『玲』に声を掛けられた理由は非常に些細なことであるため、どうでもよいことである。 重要なのは、そこから何となく一緒に昼食を食べようという話になったことだろう。 たまたま二人分席が空いていたテーブルに座り、絵理はラーメンを玲はドーナッツを、これが昼食なのかと疑われるほどの量を注文していた。 「そういえば絵理ちゃん?」 「なに?」 「『火吹き男』って知ってる?」 食事も一段落して、絵理はオレンジジュースを、玲は更に注文したホットスナックをぱくつきながら、昼休みが終わるまでとりとめのない雑談へと移行する。 「初めて聞いたかな」 「そーなんだ、もっと有名だと思ってたよ。 それで、火吹き男って言うのは街中をぴょんぴょん跳ねて、火を吹くおばけなんだってさ~」 「チェーンソーを持って?」 「いや、チェーンソーは持ってないけど」 「ごめん、何でもない」 どうやらチェーンソー男とはまた別に怪人が出る街らしい、あるいはその男こそが聖杯戦争に挑むサーヴァントなのだろうか。 「でもさ、スゴイことだよね。殺人が起こって、バネ足はぴょんぴょん跳ねて、それでもわたしたちはこの街で平穏無事に生きてる」 「きっと」 絵理は一気にオレンジジュースを飲み干して、言った。 「玲ちゃんが襲われると悲しい人が怪人と戦ってるんだよ」 「結構素敵な考え方だね」 ◇ 「結構、素敵なシステムだね」 江ノ島盾子は外で遊ぶ小学生から、小学校の噂話を不審者として通報されないように聞き取った。 その結果、掴んだものはあまりにも陳腐な、嫌いな人間を呪い殺す儀式――『死神様』である。 猟奇殺人が起こってこの儀式が生まれたのか、この噂が先にあって猟奇殺人が起こったのかはわからないが良い手段である。 殺されたのは死神様で呪われたからだ、それが真実であろうと嘘であろうと、人の死というセンセーショナルな事実は噂を真実として拡散させる。 そして、一度成功したと扱われた儀式は、きっと二度目、三度目を誰かが行い――そして、誰かが言えばいい、アイツが死神様を行った。 それが真実であれ、嘘であれ、発生するのは正義の私刑、他愛のない勧善懲悪。 きっと、見えないところでこの小学校は絶望的に病んでいるだろう。 「じゃあ、アタシもちょっとやってみようかな。死神様」 『江ノ島盾子』の手にかかれば、小学校への侵入など容易い。 と言っても、こっそり忍び込んだだけのことであるが。校舎の裏、動物の墓は簡単に見つかった。 しかし、教師が見張っている。 「…………やはり、上手く行きませんね。人生は何時だって絶望的です。 面白く無いです、これじゃあ小学生も呪い殺したいときに呪い殺せないじゃないですか、悲しいですね……」 身体からイメージとしてのきのこを生やしながら、小学校への侵入が無駄に終わったことを知る。 「てことはぁ~小学生は深夜に学校に侵入してまで呪ってるのかな?うわぁ、絶望的に陰鬱!」 「教師が見張りを行うことで、その噂の真実性を補強し、教師のいない深夜にしか儀式を行わせないことで、より『死神様』は神秘性を帯びる、中々やりますね」 「……アタシ、かなり犯人に興味湧いてきた」 ◇ 「やはり、あの娘に興味があって?」 「あっえっ……と……はい」 ある歌姫が切っ掛けとなって賑わっている西洋風の市民劇場。 もうとっくに時計の針は夜を指している。 チケット売り場で突然に係員に話しかけられた『中原岬』はどもりながらも何とか答えることが出来た。 別に歌に興味があったわけではない、しかし己のサーヴァントが引きこもってばかりいないで外出した方が良いと言うので、 なるべく同年代の人間が来なさそうな場所を選んだに過ぎない。 もっとも、その判断は誤りであった。 会場へと進む客の流れには少なくない数の少女の顔がある。 だが、今更引き返すこともできない。 覚悟を決めて、中原岬は観客席へと進む。 ステージ上の少女が、優雅に一礼。 そして、歌唱(クライ)歌唱(クライ)歌唱(クライ) 歌詞の意味など、一単語も理解できない。 それでも、中原岬は気がつくと涙を流していた。 自分が人生の中で取り零してきたものの一つは、この歌なのだと思った。 ◇ 市民劇場の控室。 少女のための歌姫――『ララ』は鏡を覗きこむ。 そこに映るものは己の躰ではない、自分と同じく人形でありながら祖を違える者。肉体を持たぬ人形。究極の少女の器。 ルーラー『雪華綺晶』が映っている。 ぱち。 ぱち。 ぱち。 ぱち。 「素晴らしい歌でしたわ、ララ様」 「ありがとう……ルーラー」 「まぁ、ルーラーだなんて他人行儀な言い方はおよしになって。 私も貴方もお人形、結局は歌い、踊る快楽人形。生まれも育ちも違っても、お人形仲間ではありませんか。 ねぇ、ララ様。私、貴方と一緒に歌いたいわ、いいでしょう?」 「ええ、いいわ……お人形さん、何を歌いましょう?」 「女の子のための歌がいいわ」 ◇ 「『フェイト・テスタロッサ』様……貴方が欲しいものは?」 「欲しいものは……母さんの、幸せ」 己のサーヴァントにも問われたものを、フェイト・テスタロッサは再び答える。 そう答えるたびに、胸をじくりと蝕むようなものがある。 それでも、構わない。 それこそが真実の望み。 フェイト・テスタロッサの祈り。 月明かりの下、窓ガラスに移ったルーラーはフェイトに上記の問いを投げかけた。 何故と問いかければ「マスターのメンタルチェック」と嘲笑を浮かべながら答える。 無意味と避けようとすれば、この質問に答えてくれれば、フェイト・テスタロッサにとって重要な情報を与える、と。 故に、フェイト・テスタロッサは答えた。 何故か湧いてくる悲しみに堪えながら、答えた。 「では、フェイト・テスタロッサ様……貴方に重要な報告がありますわ。 日が変わると同時に、貴方はルーラーの権限を用いて、マスター全員に狙われるように仕向けられます」 「…………え」 どういうこと、と聞き返す間もなく、ルーラは消えていた。 夜闇が、フェイトの体を侵食するかのように取り巻いていた。 ◇ 夜はニートの味方だ。 太陽は有職者を照らすためにあるが、夜の闇は無職を包むためにある。 そんな、どうでもいいことを考えながら、自室にて『双葉杏』はPCを起動する。 聖杯戦争は最悪だが、この状況自体は悪いものではない。 働けば働くほどに死に近づくのだ、むしろ働かない方が正しいと、世界がニートを肯定している。 だから、何時か来る戦いのことをなるべく考えないように器用にやるしかないのだ。 そんなことを考えていながらネット対戦ゲームを行っていたら、自キャラが完全敗北したのでふて寝を決め込むことにした。 眠れない。 『諸星きらり』は今日も眠れなかった。 早々に結果が出るだなんてことは、全く思っていなかった。 それでも、月に手を伸ばしているかのようにまるで手がかりが掴めない。 あの学校で諸星きらりに刻み込まれた呪縛は、諸星きらりの劣等感を煽り立てる。 バーサーカーのために、何も出来ていない自分が嫌になる。 それでも、自分を奮い立たせる呪文のように心のなかで唱える。 「ハピハピ……するにぃ……」 アイドルであることすらも忘れてしまえば、自分の心は死んでしまうだろう。 ◇ 初めての戦いは、もう自分の心のようなものは死んでしまったのだなぁ、と思う結果にしかならなかった。 相手は同じランサーのサーヴァントで、マスターはか弱い少女で、 マスターの方を狙わせたら、敵のランサーは防戦一方になって、あっさりと死んだ。 逃げる少女を見ても、特に何も思わなかった。 初めての戦いは、『シルクちゃん』にとって、そのような思い出す価値もないものだった。 ◇ 結局、死神様が心に引っかかったままであったので、『江ノ島盾子』は小学校に忍びこむことにした。 時計は11時を指している、守衛はいるだろうが、少なくとも死神様とやらを試すのに邪魔は入らないだろう。 校舎を囲う壁を助走をつけて跳び越え、小学校内に侵入する。 校舎の裏、動物の墓を阻むものは何も無い。 死体を13個揃えて、死神様とやらを3回ぐらい呼んで願えばいいとのことなので、虫の死体を用意する。 本当は、大切に飼っていた猫をハンマーで潰した死体を捧げるのが一番良いのかもしれないが、それは面倒臭い。 現段階ではある手札で勝負するしかないのだ。 「死神様、死神様、死神様」 「誰も殺さなくていいから、アタシとお話しない?」 夜の静寂に包まれたまま、校舎の裏には何の変化も訪れない。 ただ、無関心そうに月光が動物の墓に降り注ぐのみ。 他愛もない陳腐な終わり、ありきたりなガセ。 「こんばんは」 「絶望的に……時間の無駄…………じゃない……みたいですね」 ではなかった。 江ノ島盾子の背後から、少女が現れる。 闇の中でもはっきりとわかる、白。 まるで、天使のような少女。 「死神様にごようですか?」 「うぷぷ……違うよ、僕が話したいのは君だよ」 「あ、自己紹介してないね。アタシ、江ノ島盾子。趣味と特技は絶望。最近は生徒会を殺しあわせて、愛する人間ぶっ殺しました。よろしくね」 「ご丁寧にどうも、『蜂屋あい』です」 「この時間帯だと誰かに補導されるし、明日の放課後にでもお話でもしましょうよ。てかLINEやってるw?」 「LINEはないですけど、ケータイはもってますよ」 「じゃあ、メアド交換しよっか」 「QRよみこみますね」 「はいはい、ところで……アンタ何人殺した?」 「……わたしはだれもころしてないですよ」 「ふーん……じゃあ、アンタのお友達の死神様は何人殺したの?」 「……死神様にねがっても、人がしなない…………だから、まちきれなくなって、あせって、ころしちゃう、こまった子って、けっこう多いんですよ」 「へー、もう手を下す必要すら無くなったんだ。スゴイね」 校舎の裏、天使のような笑みを浮かべて、絶望と悪魔が言葉で踊って、前夜祭の話は終わり。 ◇ 私は運命(Fate)を否定する――と、彼女は言った。 ◇ ――愛するものが死んだ時には、自殺しなけあなりません。 あの詩人の言葉が蘇る。 愛する娘が死んで、彼女は何度命を絶とうとしたことだろう。 それでも、保存液の中の死体はまるで眠っているかのようで、今にも目覚めそうで、だから、彼女は死ぬことが出来なかった。 娘が起きた時に、誰も待っていなければ――きっと、彼女は寂しがるだろうから。 蘇生のための研究に没頭する狂気の魔導士は、そうやって保存液の中の娘を見る時だけは母親の顔をしていた。 ――愛するものが死んだ時には、それより他に、方法がない。 あるいは、自分の行為の果てに奇跡は訪れないのかもしれない。 如何に手を尽くそうとも、結局のところ娘は蘇らないのかもしれない。 それでも、どれほどの犠牲を払っても、例え世界を滅ぼしても、一つの世界で足りないのならば、平行世界の何千何百の可能性を積もうとも、 蘇生の可能性を施行し続けなければならない、娘の母親であろうとするのならば。 ――けれどもそれでも、業〈ごう〉(?)が深くて、なほもながらふことともなつたら―― 生者を救うための方便として、娘は天国に行ったのだという優しい嘘はある。 だとすれば、死んだ私は地獄に堕ちるのだろう。 太陽に手を伸ばすかのように、地に堕ちた私は娘のいる天に向けて手を伸ばすのだろう。 だから、絶対に死ねない。 私の死によって娘の蘇生の可能性が潰えることは許せない。 だというのに、この身は病に蝕まれ、もう先は長くない。 ――奉仕の気持に、なることなんです。 本来ならば、生命蘇生の技術を研究するつもりだった。 だが、足りない。時間が圧倒的に足りていない。 だから、残された時間で、私は無垢なるものを蹂躙し、聖なるものを陵辱し、尊き物を破壊する。 聖杯とは――誰もが信じぬ幻想、だがしかし、その技術体系そのものは本物である。 だから、私はこの聖杯戦争を通し、少女聖杯と聖杯を完成させ――娘を。 『アリシア・テスタロッサ』を蘇生させる――と、『プレシア・テスタロッサ』は言った。 ◇ 少女を殺すのは、常に大人だ。 ◇ 「くすくすくすくす、ところでマスター?」 「平行世界の貴方の娘がこの会場にいると言ったらどうします?」 ◇ ルーラーからの伝達(この伝達は基本的には携帯かPCメール、両方を所持していない人間には、雪華綺晶の手によって文書の形で直接配達された。 なお、以下の文章は実際に配達された文書の大意である) 予選通過おめでとうございます、殺し合い頑張ってください。 諸事情につき、マスターの一人であるフェイト・テスタロッサを捕獲することになりました。 別紙にて情報(姓名、顔写真)を提供いたしますので、協力していただける方は、フェイト・テスタロッサを生かして図書館まで連れてきて下さい。 フェイト・テスタロッサを引き渡していただいたマスターには令呪一画が報酬として与えられます。 (フェイト・テスタロッサを殺害してもルーラーからペナルティを与えることはしません) 聖杯戦争用に掲示板を用意しました、ご自由にどうぞ【URL】 予選通過の報酬として、五千円分の電子マネーを用意しました(直接配達されたものに関しては、QUOカードが同封されていた)
https://w.atwiki.jp/sinnerei/pages/1307.html
【作品名】スターオーシャン Till the End of Time 【ジャンル】漫画 【作品設定】エニックス(現スクウェア・エニックス)より発売された 「スターオーシャン Till the End of Time」(DC版含む)のコミカライズ作品 ストーリーの前半部分(DC版におけるDisc1)が単行本6巻分で描かれているのに対して 後半部分(DC版におけるDisc2)が単行本1巻分にまとめられているのが特徴といえば特徴 【名前】フェイト・ラインゴッド(漫画) 【属性】地球人、遺伝子操作を施された生物兵器 【年齢】21歳12日 【長所】原作よりディストラクションを使いこなしている。 【短所】マッドサイエンティストな気質がある。 【備考】単行本2巻の人物紹介で19歳とある。 2巻が開始してからヴァンガード3号星を脱出してエリクール2号星に不時着。 一夜明けてカルサアに到着後一泊した後にアリアスに到着して更に一泊。 その日のうちにカルサア修練場に訪れ翌日にペターニに到着して一泊。 そのままシランドに到着して翌日に銅鉱脈へ採掘に訪れた。 夕方の時から夜通し移動して昼にシランドへ到着。 シランドを夜明けに発ってから色々あった後にFD人の干渉が開始。 アクアエリーに乗船した際に上記干渉が100時間前から数えて数時間後だと言われており、 その時点から最終話終盤で2年の時が過ぎたので合計すると21歳12日が最終年齢。 vol.5
https://w.atwiki.jp/togazakura/pages/304.html
「ロストロギア」の一種で、碧眼の瞳を思わせる色と形状をした宝石。 全部で21個存在し、それぞれシリアルナンバーとしてローマ数字がふられている。 一つ一つが強大な「魔力」の結晶体で、 周囲の生物が抱いた願望(自覚の有る無しに関わらず)を叶える特性を持っている。 ユーノ・スクライアが発掘、その後の事故で海鳴市周辺に漂流する。 「PT事件」の中核であると同時に、高町なのはが「魔導師」となり、 フェイト・テスタロッサや「時空管理局」と出会うきっかけとなった「ロストロギア」である。 なお、後年の事件である「JS事件」でも登場する。 魔法少女リリカルなのは (ファーストシリーズへ戻る
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/4701.html
鳥の囀り。空と大地に吹きわたる風。 岐阜高山のさる公園の片隅。そこでマダオは気を失った美女を見守っていた。 ちなみに現在、バリアジャケット状態は解除されている。 美女、フェイト=T=ハラオウンの気絶の原因がその姿のマダオを見たというのもあるし このバリアジャケット状態は結構魔力を消費するからっていうのもある。 (まあ、理由としては前者の方が強いわけだが) フェイトの瞼が、少し動いた。気がついたらしい。 「……あ」 「気がついたみたいだね」 「……」 マダオがフェイトに話しかける。 同時に、フェイトは自分が置かれている状況を確認した。 自分は確か、大親友の高町なのはを探していたはず。それが、いつの間にか気を失っていた。 そして、気がつくと知らないおっさん(なんかだめそう)が横にいて……。 瞬間、気を失う前に見た光景……フリフリの服を着て、レイハを手にしていたおっさんの姿が蘇る。 そう、横にいたのはまさに昨晩の……。 「ひっぎゃあああああああああああああああああ!!」 フェイトは叫んだ。 「お、おい……どうしたんだ?俺は悪い人間では……」 「ゆ、昨夜の変態ィィィィィィィィィィィ!!!!」 ずどてばた。マダオはずっこけた。 「いや、俺は変態などでは……」 『マスター(暫定)、昨日の今日ですから……』 確かに、昨晩マダオは(仕方ないこととはいえ)あんなフリフリの服を纏っていた。 神楽やお妙といった美少女が纏うならまだしも、オッサンがあんな格好をしていたのだ。 変態扱いされても仕方がない。 「おまけに、レイハまで……許さない……」 『Ms.フェイト。少し落ち着いてください。昨晩も言ったと思いますが、彼はたまたまMs.レイハが支給されたのです…… それに、あの格好はきっと……いや、絶対にバリアジャケットです』 「そうだ。あんたの持ってる金色のいう通りだ。違うんだ、お嬢ちゃん!あれは所謂ひとつの……!!」 バルディッシュは諌め、そして、マダオは必死に抵抗する。 しかし、憤怒に燃えるフェイトにはそんな声など聞こえない。 「……バルディッシュアサルト、セットアップ」 『……Ms.フェイト……』 「セットアップって言ってんだよ!!!」 『……す、すたんばいれでぃー……せっとあっぷ……』 フェイトの気迫に圧倒され、バルディッシュはその身を光らせる。 黄金色に輝くその光はやがてその一帯を覆い尽くし始めた。 その異空間では紫色の稲光が走っていた。 その中で、フェイトの衣服が衣服、下着の順で霧散消失していく。 全裸状態となった彼女は自らの相棒を宙へと放る。 やがて、聞こえ出す金属音。 『魔法少女』というジャンルでは本来無縁なはずのその音を立てながら それは金色の宝玉を、金属質の軸、そして黒いボディを持った杖へと変形していった。 杖を手に取る。同時に黒いアンダースーツが、同色の上着が、銀色に輝く手甲が、スカートが、 長めのソックスが、靴が装着される。 髪形も、ロングから、黒いリボンがはためくツインテールとなった。 そして、最後の仕上げ!といわんばかりに白いマントが装着される。 完全なる魔法少女の姿となった、フェイトは愛機を構えながら、地面に降り立った。 なお、こちらの変身シーンも1分近くあるが実際の経過時間はそれほどではない。 「……はへ……」 その為、一瞬で『かっこいい姿』になったフェイトにマダオは目を丸くした。 「……変態は吹き飛ばす……」 なのはStS第8話で高町なのはが見せたようなおっそろしい顔を見せるフェイト。 フェイトの愛機、バルディッシュも彼女の気迫に圧倒され何も言えずにいた。 「話を聞いてくれー!!」 一方、マダオは必死に叫ぶ。 だが、現実とフェイトは非情だった。 「これが、私の全力全開……!」 ……黄金色の魔力光とともに反響する盛大な爆音。 「水樹奈々たん、紅白3年連続出場おめでとォォォォォォォォ!!!!」 同時に、マダオの断末魔が響いた。 「そうだったんですか、すみませんでした!!」 ようやく当人……フェイトの頭が冷え、マダオとバルディッシュの話を聞き入れたフェイトは必死に謝った。 「まあ、別にいいんだけどね……」 すっかりズタボロ状態なマダオである。 「……ところで、君は殺し合いには乗っていないのかい?」 「とんでもないです!こんな殺しあい、なのはと……機動六課のみんなと一緒にぶち壊します!」 きどーろっか?新たなるキーワードの登場に頭を捻らす、マダオさんなのでした。 「でも、なのはがどこにいるのか……」 表情を曇らすフェイトに、マダオは言った。 「安心してくれ、フェイトちゃん。俺も『なのは』ってやつを探すのに付き合うからさ」 「あ、ありがとうございます!」 フェイトの顔が明るくなる。 「申し遅れたが……俺は長谷川泰三っていうんだ。よろしくな」 「はい!あ、でも……」 「……?」 「なんか、まるでだめなおっさん……略して、マダオっぽいんで、マダオって呼んでもいいですか?」 「ヘコー!!」 再びずっこけるマダオであった。 【一日目・9時23分/日本・岐阜県高山市】 【長谷川泰三@銀魂】 【状態】 ズタボロ、ずっこけ 【装備】レイジングハートエクセリオン@魔法少女リリカルなのはStS(待機状態) 【道具】支給品一式 【思考】基本;銀さん達に会いたい。殺し合いには乗らない 1:ひどいよ、フェイトさん! 【フェイト=T=ハラオウン@魔法少女リリカルなのはStS】 【状態】やや疲労、魔力消費(最大) 【装備】バルディッシュアサルト@魔法少女リリカルなのはStS(待機状態) 【道具】支給品一式 【思考】基本;なのはと合流。殺し合いには乗らない 1 マダオさん、よろしくお願いします
https://w.atwiki.jp/tmnanoha/pages/377.html
#1 カーン! と甲高い音が邸宅の庭に響き渡る 設置された特設リング上、ぶつかり合う力と技 「さぁ始まりました、実況は私、時空管理局執務官補佐シャリオ・フィニーノ、 解説は魔術協会ノーリッジ学生寮受付オクタヴィア・レイランドさんでお送りいたします」 ノリノリな先輩を横目で見ながら現実逃避していたティアナ・ランスターは、 空を見上げてため息をつきながら思った ―――なんでこんなことになったんだっけ? ロストロギア捜索をしてたはずよねぇ―――などと現実逃避していたら、 目の前のテーブルにティーセットが用意されていた ありがたくいただきながらその原因に視線を戻す あいつもあいつでノリノリなのよねぇ……と、リング上の友人の様子に再度ため息を付く 事の始まりは数日前に遡る 地球で発見された虚数空間に消えたはずのロストロギア『ジュエルシード』 その回収任務で現地に降り立ってから数日、 其れらしい反応に、ティアナはとある邸宅を訪れた 知らずに持っているならまだましだが、危険な思想を持って実用しようとしている場合、 果たして実力行使に出ていいものか 現状自衛はともかく現地人への実力行使は認められていない、 そんなことにならないに越したことは無いが、 今回は相手が極めて利己的な思想を持っている可能性がある為、 穏便に済まないことは十二分に考えられるのである 「確かに其れらしい物を先日購入いたしましたわ」 当主だと言うティアナと同年代と思しき少女は幸い物分りが良い人物だったらしく、 交渉そのものはさほど難航することは無く、 やや肩透かしを喰らったような感じを受けたティアナだったが問題はその後に起きた 「金銭の問題ではありませんわ―――えぇ、ありませんとも」 そう言って、言い値で買い取るというティアナの申し出を断った彼女が出した条件 それは――― #2 「うわぁ、こっちの文字はミッドっぽいなぁ」 「スバル、キョロキョロしない! まったく、どこの田舎者よ」 は~い、なんて元気良く返事しているが到底分かっているとは思いがたい ロストロギア『ジュエルシード』の取引において先方が要求したのは金銭ではなく、 なんと当人いわく異文化交流―――ミッドチルダの格闘家との真剣勝負であった この一件に対し、ティアナは魔術協会側の担当者へ相談し、 しかる後、偶然休暇で手の空いていた友人を呼び出したのであった ちなみに、協会側の担当者の返答はと言うと 「良いからやっちゃって、 そっちが良いなら息の根止めて良いから」 と言うものであった 仮にも公的機関である管理局員を捕まえて殺人教唆と言うのもどうかと思うが、 魔術師的にはOKらしい 曰く、「魔術師同士の戦いとは命のかかった真剣勝負で当然」だそうだが、 単に場のノリで言ってるようにしか聞こえなかったのは彼女の気のせいではあるまい ―――で、 屋敷について程なく、執事に連れられて庭へ向かった彼女たちが見たのは、 どこからどう見ても見間違えようの無いプロレスのリングであった 「ようこそエーデルフェルト邸へ、 手袋を受け取る準備はお済かしら?」 パラソルの下にテーブルとティーセット辺りを思い浮かべそうな庭に、 威風堂々と鎮座するプロレスリング、 そしてそのコーナーで丸椅子に腕を組んで座っているドレス姿のお嬢様こと、 エーデルフェルト家当主ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト ―――シュールを通り越して笑うしかない光景である しかも、どうやらそのままやるつもりでいるらしい ますます持って正気を疑う有様である 「あ~……スバル、いける?」 「うん、OK」 相手と反対のコーナーに立ち、調子を確かめるように靴でマットを叩く相方に問う、 こちらは流石にそれなりに動きやすい格好である 「前置きは必要ありませんわね、 それでははじめましょうか」 そう言うと、やおら袖に手をかけ力任せに引き千切る 一瞬面食らったティアナだったが、 袖の肩口にマジックテープが施されているのを見せられては呆れるしかなかった 莫迦だこの人――― しかも袖は外すのにスカートは脱がないらしい、 そっちの方が動きの邪魔になるのではなかろうか? 本人的には淑女としてそのようなはしたない行為は出来ないからなのだそうだが ティアナからすればこう言わざるを得ない つまり―――淑女って、何? 全員のヴォルテージが上がっていく中、 唯一人空気を読み違えた常識人は立ち尽くす以外の術を持たないのだった #3 「―――それで、件の物は回収できた訳?」 「はい……」 その夜、セーフハウスを訪れた遠坂凛に尋ねられ、ティアナは頷いた バックドロップを倒立で破る、正面からのストレートを飛びつき十字で捕まえる 背負い投げをローリングクラッチホールドで返されたときはどうしようかと思ったが、 リング中央で大の字を書いて横たわるスバルに対し、 わざわざコーナーポストによじ登ってパフォーマンスを決めてから フライングボディープレスに行く辺り徹底している スバルの方もスバルの方で途中あたりから 「コツが分かってきた」 などと言い出し大振りで派手な技を多用したりと“プロレス”に乗っていたようで (フライングボディープレスを受けたときも態々リング中央で大の字になるように 互いに組み合いながら無言で申し合わせていたらしい) 日ごろ見られないながらも実にらしいオーバーリアクションで相手していた 「なかなか良い“文化交流”になりましたわ」 と別れ際、実に清々しい笑顔で語るルヴィアにどう言う返事を返せばいいか全くもって ティアナが困ったことを追記しておく 「まぁ確かに良い“文化交流”になったのかもね」 仕事の都合があるので帰るというスバルを見送って、 ティアナの話にふむ、と凛は頷いた 「アレのどの辺が“文化交流”だったのか私には分かりかねますが……」 「プロレスについてはあのトンデモの趣味だから忘れていいわ、 私が言ってるのはさっきの子―――躯、普通じゃなかったでしょ?」 顔を引きつらせたティアナを手で制して話を続ける凛 「見るものが見ればこのぐらいは気づくのよ、 人造生命の鋳造なんてこっちでだって昔からある訳だし」 戦闘機人と人間の区別は一見して付きにくい、 その存在を知っていて眼球の機械じみた動きに気づいて漸く、と言った所である 物の数分、会話らしい会話も無く外見だけで見抜けるものなのだろうか? それとも、それが出来るから一流ということか そこへ、戸口をノックする音がした 外出していたシャーリーが戻ってきたのだろう 「はい、開いてますよ――― って、フェイトさん」 「うん、お待たせティアナ」 迎えに出ると、シャーリーと一緒に金髪の女性が立っていた ティアナとシャーリーの直属の上司、 フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官である 「それで『ジュエルシード』の出所は分かった?」 「物の回収は進んでますが、そっちの方はあんまり……」 「そうか、仕方ないね」 個人的な事情があるためか、ティアナの返答にあからさまに落胆の色を示す、 心なしか、ティアナの目から見てあせっているように見えなくも無い 「お土産兼、なのはからの差し入れがあるから、 お茶にしながら今後の打ち合わせをしようか」 「差し入れ―――翠屋のケーキですか、 いいですね、丁度魔術協会の担当者の方も此方に来られていますし」 さっきまでスバルも居ましたけどと、言いながら凛にフェイトを引き合わせる、 その凛はというと、ソファーに座ってフェイトを観察し、 ふむふむと頷いた 「―――フェイト・テスタロッサ・ハラオウン……ねぇ、 名前をつけた人間が酔狂だったとしか思えないわね」 「そう言う事は陰口でもあんまり言われたこと無いですね」 「そりゃそうよ、 大体本人が聞いてたら陰口にならないじゃない」 打ち合わせと言うより唯のティータイムといった感じで フェイトの反応にやや呆れた様にそう返す ちなみに凛が素なのはここ数日のうちにシャーリーに素顔を見抜かれたのと、 ルヴィアの件を相談した際、うっかり地を出してしまい、以後開き直ったからである 「テスタロッサと言えば――― 地球に親戚が居たりする、貴女?」 「いえ、養母と義兄の家族は居ますけど 実母の親戚は―――」 凛の何気ない問いかけに、声を震わせながら答える 「そう、 私が通ってる日本の学校によく似た生徒が居るんだけど、 苗字も同じだし―――偶然にしては出来すぎ……」 「その生徒の名前は!?」 凛の話を皆まで聞かず、掴みかからんばかりの勢いでフェイトは彼女に問いかけた、 思わぬところから、フェイトの求めていたものが転がり出た瞬間だった 「なんて言ったかしらね――― ……アリス―――じゃなくてラテン語の方の確か―――」 「アリシア――― アリシア・テスタロッサ」 「そうそう」 頷く凛の目が少し鋭くなる、ふん、鼻を鳴らした凛はつまりそう言う事かと呟いた 「シャーリー、日本行きの手続きをとって、 それと―――」 「はい、分かっています」 皆まで聞かずともと空間モニターを開き何かを始めるシャーリー、 その手がふと、新たな情報の前に止まった 「フェイトさん、 ―――以前から調査対象だった研究機関のスタッフが、 この世界へ渡航した後消息を絶っているそうです」 「何時から?」 フェイトの本業は違法な生命操作研究の調査である この時期に容疑のかかった研究機関がこの世界に来た上、消息を立った…… 「その子、何か過去にあった?」 あること自体は確信しつつ凛が問う 「アリシア自身は何も、ただ―――」 「親が違法研究―――いえ、死者蘇生を試みた、 その過程で生み出されたのが貴女だってところかしら」 凛の見立てにフェイト達に戦慄が走った フェイトと凛が出会ってからまだそれほど時間がたった訳でも、 何かフェイトに異常な部位があったわけでもない にも拘らず、フェイトを人造生命だと看破して見せた手腕はもはや驚愕では済まない 「外から“魔力を視る”とやっぱり人とヒトガタの間には顕著な差があるのよ、 私が見た限りでその誤差を感じられたのが貴女の方だった、それだけよ」 それで生まれの貴賎につながるモノでも無いけどね、と言いながら立ち上がる 「自分の庭で騒がれるのは気分のいいものじゃないわね、 乗りかかった船だし、知り合いにその子を確保させておくわ」 「でも、相手が魔導師だとしたその人が危険なんじゃ」 今回のようなスポーツ格闘の類ならともかく、 一般人であるなら魔導師が実力行使に出た場合危険である それとも、その人物も魔術師なのだろうか? 「一般人じゃないわよもちろん、 まぁ、魔術師としてはへっぽこもいいところだけど」 反応に困る人物評である、本当に大丈夫だろうか 「仮に何かあっても大丈夫でしょ、あいつなら なにせ―――」 正義の味方だから、と彼女は大真面目にそんな言葉を口にした
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1208.html
「主はやてから、ある程度話は聞いていたが、状況は相当酷いようだな」 シグナムが深刻な表情で言いながらなのはの方を振り向くと、なのはは暗い表情で 膝の上に置いた手を見つめていた。 「フェイトちゃん…」 突然、ヴィータがなのはの前にやって来て、彼女の顔に両手を当てて自分の方を振り 向かせて大声で言った。 「テスタロッサは大丈夫だ、そうだろ!? なのは!!」 周囲の人間が、驚いて振り向くのも構わぬヴィータの剣幕とその真摯な視線に、なのは は眼を見開いてヴィータを見つめる。 続いて、シグナムが励ますように笑顔で言った。 「なのは、テスタロッサはかつて、お前のスターライトブレイカーの直撃にすら耐えた のだろう? ならば、前線基地一つが壊滅する程度の攻撃では死なんよ」 「シグナム。それ、フォローになってねーんじゃ…?」 ヴィータが白けた表情で言うと、シグナムは鼻白んで天井を見上げながら言った。 「む…そ、そうだな…」 なのはは首を横に振り、微笑みながら言う。 「ううん、今まで色々と大変な事はあったけど、私もフェイトちゃんも――」 なのははそこで一旦言葉を切り、二人の肩に手を置いて、再び話し始める。 「そして、みんなの力でそれを乗り越えていったんだよね。 ありがとう。ヴィータちゃん、シグナムさん」 なのはが多少ながらも力を取り戻したのを見て、シグナムとヴィータは互いに顔を 見合わせ、笑みを浮かべた。 実用性に優れた、質素な家具が並ぶ広い洋間。 部屋の中央部にはテーブルがあり、そこには二つの高級ソファーが向き合う形で配置 され、一方には恭也・美由希とヴィヴィオが座っている。 反対側に座るのは、コバルトブルー一色に統一されたパスリーブクレリックシャツと ロングスカートの、桃子と同年代で、オパールグリーンの髪に額に紋章の入った女性。 ボストンレッドソックスTシャツに迷彩色のハーフパンツを穿いた、犬耳と尻尾を 生やしたオレンジ髪の少女。 ロボットのおもちゃで遊ぶ二人の子供をあやす、黒の半袖ポロシャツに白のカジュアル パンツの、二十代前半の栗色のショートヘアーの女性。 彼女たちは、窓際に表示されている空間モニターを真剣な表情で見つめていた。 「現在のところ、基地及びその周辺で生存者が確認されたという情報は、残念ながら 入っておりません」 モニターには、演壇に立ったゲラー長官が、フラッシュを浴びながら記者や視聴者に 向けて語りかけている。 「しかし、政府は、生存者の捜索と救出に全力を尽くすべく、次元航行部隊を当該 世界へ向けて緊急派遣し、事件についても、現在総力を挙げて調査中です。 この残忍かつ一方的な攻撃の重大性、攻撃の規模と、推定される犠牲者数の多さを 鑑みて、元老院は時空管理局統合幕僚会議の諮問に同意し、管理内外世界総ての部隊に DEFCON3体制を発令。最高レベルの防衛準備体制に移行しております」 「なのは達が慌てて帰っていったのは、このためか」 恭也は、モニターを見ながら呟く。 「ごめんなさいね、久しぶりのなのはちゃん達との再会に水を差すような事になって」 ティーカップを持った、オパールグリーン髪の女性が申し訳なさそうに言うと、美由希 が首を横に振って答える。 「リンディさんが謝る事はありませんよ。むしろ、娘さんが行方不明ですごく心配でしょう」 リンディ・ハラオウン次元部局執務統括官は、硬い表情でカップのお茶を少し飲んでから、 小さく言う。 「そうね。血の繋がりはなくても、大切な娘だから…」 「フェイト…」 リンディの隣に座る、オレンジ髪の少女が不安げな表情でモニターを見つめながら 言うと、栗髪の女性が少女に問いかけてきた。 「アルフ、フェイトちゃんの気配とか何か感じない?」 エイミィ・ハラオウンの言葉に、フェイトの使い魔アルフは、目を閉じて意識を 集中する。 「ダメ、世界が違うから何も」 アルフはしばらくして目を開き、体の力を抜いて天井を仰ぎながら言った。 「でも、フェイトが助からなかった場合、契約が消滅して…魔力供給に影響も出る はずだから…」 アルフから続いて出た言葉に、リンディは期待を抑えきれない口調で言った。 「じゃあ、フェイトはまだ…」 「確証はないけど、生きてるとは思う」 アルフの言葉に、リンディにエイミィとヴィヴィオの表情が少し明るくなり、恭也 と美由希は顔を見合わせて頷いた。 「フェイトママ…今、どうしてるんだろう……?」 ヴィヴィオは、遠い世界で必死に生き残ろうと戦っている、もう一人の母親を憂え ながらぽつりと呟いた。 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nenrei/pages/2565.html
【作品名】スターオーシャン Till the End of Time 【ジャンル】漫画 【作品設定】エニックス(現スクウェア・エニックス)より発売された 「スターオーシャン Till the End of Time」(DC版含む)のコミカライズ作品 ストーリーの前半部分(DC版におけるDisc1)が単行本6巻分で描かれているのに対して 後半部分(DC版におけるDisc2)が単行本1巻分にまとめられているのが特徴といえば特徴 【名前】フェイト・ラインゴッド(漫画) 【属性】地球人、遺伝子操作を施された生物兵器 【年齢】21歳12日 【長所】原作よりディストラクションを使いこなしている。 【短所】マッドサイエンティストな気質がある。 【備考】単行本2巻の人物紹介で19歳とある。 2巻が開始してからヴァンガード3号星を脱出してエリクール2号星に不時着。 一夜明けてカルサアに到着後一泊した後にアリアスに到着して更に一泊。 その日のうちにカルサア修練場に訪れ翌日にペターニに到着して一泊。 そのままシランドに到着して翌日に銅鉱脈へ採掘に訪れた。 夕方の時から夜通し移動して昼にシランドへ到着。 シランドを夜明けに発ってから色々あった後にFD人の干渉が開始。 アクアエリーに乗船した際に上記干渉が100時間前から数えて数時間後だと言われており、 その時点から最終話終盤で2年の時が過ぎたので合計すると21歳12日が最終年齢。 vol.5
https://w.atwiki.jp/solitary_fate/pages/2.html
メニュー トップページ フェイトちゃん 基本スペック 秀逸な作品集 絵師さまによる作品 フェイトちゃんのフィギュア アクセス数 昨日: - 今日: - 累計: - 更新履歴 取得中です。 @ウィキ ガイド @wiki 便利ツール @wiki
https://w.atwiki.jp/psptown/pages/142.html
Fate/EXTRA フェイト/エクストラ攻略 ネタバレ等含みますのでご注意下さい。 まず最初に、初心者モードで始める事をオススメします。 敵の攻撃パターンなども周回で引き継げる為、2週目以降がぐっと楽になります。 アリーナ アイテム スキル
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/598.html
「THE WORLD?」 親友からの誘い、それが事の始まりだった 「まさか…プレイヤーを意識不明にするって噂の!?」 プレイヤーの意識を奪い去る存在『八相』 「そんな…嘘でしょ?ごめん、なのは…」 八相の『データドレイン』によって倒され、意識を奪われる親友 「全部教えて。その技の正体も、何でカイト君がそれを使えるのかも」 そして『黄昏の腕輪』と、その主『カイト』との出会い ただのゲームだったはずのTHE WORLDは、現実世界をも巻き込んだ長い戦いを引き起こす その戦いで彼女ら…『高町なのは』と『フェイト・テスタロッサ』は何を見るのか… .hack//Lyrical…はじまります 単発総合目次へ その他系目次へ TOPページへ